情シスの課題とは?問い合わせ対応の実態と今日から実践できる解決策
企業のIT環境を支える情報システム部門(以下、情シス)は、DX推進やセキュリティ対策の重要性が高まる中で、その役割がますます拡大しています。
一方で、現場では日々の問い合わせ対応やトラブル対応に追われ、本来取り組むべき業務に手が回らないという課題を抱えている情シス担当者も少なくありません。
実際に当社が支援している従業員数10〜300人規模の中小企業においても、情シス担当者1人あたり1日平均10〜20件の問い合わせ対応が発生しています。
皆さまの会社でも、日々このような問い合わせは発生していないでしょうか。
「パスワードがわからず、ログインできません」
「PCが動かなくなりました」
「エラーが出て業務ができません。至急対応をお願いします!」
本記事では、情シスが抱える代表的な課題と、特に負担となりやすい「問い合わせ対応」の実態を整理しながら、今日から実践できる改善策を解説します。
目次
情シスが抱える主な課題とは?

①業務の属人化
情シス業務は専門性が高く、特定の担当者に依存しやすい傾向があります。
「このシステムは○○さんしか分からない」といった状況が常態化すると、以下のようなリスクが発生します。
- 担当者不在時に対応が止まる
- ナレッジが共有されない
- 引き継ぎが困難(スキル・人員不足・時間の問題など)
属人化が進むと、担当者不在時に業務が止まるリスクが高まります。
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②問い合わせ対応の肥大化
情シスの負担として最も大きいのが、社内からの問い合わせ対応です。
「パスワードを忘れた」「PCが動かない」「ツールの使い方が分からない」など、日々多くの問い合わせが寄せられます。
これらの対応に時間を取られることで、
- 本来の業務(IT戦略・改善施策)に時間が割けない
- 常に“受け身”の状態になる
- 担当者の疲弊・離職リスクが高まる
といった悪循環に陥ります。
③IT投資・改善が後回しになる
問い合わせやトラブル対応に追われることで、以下のような重要業務が後回しになりがちです。
- 業務効率化のためのツール導入
- セキュリティ対策の強化
- システムの最適化
結果として、企業全体の競争力低下にもつながる可能性があります。
④セキュリティ・トラブル対応の不安
限られたリソースの中で、セキュリティ対策まで十分に手が回らないケースも多く見られます。
- インシデント発生時の対応体制が不十分
- 最新の脅威情報をキャッチアップできない
- 監視やログ管理が不十分
これにより、「何か起きたら対応できるのか」という不安が常につきまといます。
情シスに多い「問い合わせ」の実態

情シスに寄せられる問い合わせは、ある程度パターン化されています。
代表的なものは以下の通りです。
| カテゴリ | よくある問い合わせ内容 |
|---|---|
| アカウント関連 | パスワードリセット、ログイン不可 |
| メール関連 | 送受信できない |
| PC関連 | 動作が遅い、フリーズ |
| 操作関連 | ソフトの使い方が分からない |
| 申請関連 | アカウント作成、権限変更 |
これらは件数が非常に多いのが特徴です。
特に問題となるのは、多くの企業では「問い合わせのうち約6〜7割は“繰り返し発生する定型的な内容”が占めている」ことです。
本来であれば一度ナレッジ化すれば済む内容でも、仕組みが整っていない場合、都度個別対応が必要になります。その結果、
- 「1件あたりは数分でも、1日で数時間を消費する」
- 「対応に追われて本来業務に着手できない」
- 「問い合わせ待ちの社員側も業務が止まる」
といった、情シス・現場双方にとって非効率な状態が生まれます。
また、問い合わせの多くはITトラブルそのものよりも、「操作が分からない」「どこに聞けばいいか分からない」といった情報不足や導線設計の問題に起因しているケースも少なくありません。
つまり、問い合わせの増加は単なる業務負荷の問題ではなく、社内のIT環境や運用設計の課題を可視化するサインとも言えます。
問い合わせを減らすための具体的な対策

情シスの負担を軽減するうえで、最も効果的なのが「問い合わせの削減」です。
ここでは、すぐに実践できる具体的な対策を紹介します。
対策①問い合わせの可視化・分類
まず取り組むべきは、「どんな問い合わせがどれくらい来ているのか」を把握することです。
多くの現場では、問い合わせがメールやチャットに埋もれており、正確な件数や内容が把握できていません。ここで重要なのが以下の対応です。
- 問い合わせを一元管理する(ツール導入や専用窓口の設置)
- 内容ごとにカテゴリ分け(例:アカウント/デバイス/ネットワークなど)
- 発生頻度・対応時間を記録
これにより、「どの対応に時間を取られているのか」「削減すべき優先度はどこか」が明確になります。
対策②よくある質問のFAQ化
問い合わせの中でも、繰り返し発生する内容はFAQとして整備することで大幅に削減できます。
効果的なFAQ作成のポイントは以下の通りです。
- 実際の問い合わせ文をベースにする
- 専門用語を避け、誰でも理解できる表現にする
- 画像や手順付きで説明する
実際にはFAQを作成しても、存在が知られておらず使われないケースも多く見られます。
FAQは作って終わりではなく、
- 社内ポータルに掲載
- 問い合わせ時に自動案内
- 定期的に更新
といった運用が重要です。
対策③マニュアル・ナレッジ整備
FAQよりも踏み込んだ内容として、業務マニュアルやナレッジの整備も欠かせません。
特に効果的なのは、以下のような対応です。
- 初期設定手順(PCセットアップなど)
- よく使うツールの操作方法
- トラブルシューティング集
これらを体系的に整理することで、
- 社員の自己解決率向上
- 新入社員の教育コスト削減
- 情シス内の属人化解消
といった効果が期待できます。
対策④問い合わせルールの明確化(窓口一本化など)
問い合わせの「入り口」がバラバラだと、それだけで管理コストが増大します。
そのため、以下のようなルール整備が重要です。
- 問い合わせ窓口の一本化(例:専用フォーム・専用チャット)
- 緊急度に応じた対応フローの定義
- 対応時間・SLAの明確化
例えば、「緊急対応以外は専用フォームからのみ受付」とするだけでも、対応の効率は大きく改善します。
情シス業務全体を楽にする改善の進め方

ここまで紹介した対策を効果的に進めるためには、段階的なアプローチが重要です。
やみくもに施策を打つのではなく、順序立てて進めることで、無理なく改善が実現できます。
業務改善に進め方について、6つのステップで紹介いたします。
業務改善の6つのステップ
| ステップ | 内容 | 目的 | 具体的なアクション |
|---|---|---|---|
| ステップ① | 現状の業務棚卸し | 業務の全体像と課題の可視化 | 業務の洗い出し、工数把握、属人化の特定 |
| ステップ② | ボトルネック業務の優先改善 | 負担の大きい業務を先に解消 | 問い合わせ対応の分析、削減施策の実施 |
| ステップ③ | 業務の標準化・マニュアル化 | 属人化の解消と品質の安定 | 手順書作成、対応フローの統一、ナレッジ共有 |
| ステップ④ | 自動化・ツール活用 | 工数削減と効率化 | アカウント管理の自動化、チケット管理導入 |
| ステップ⑤ | 外部サービスの活用 | リソース不足の補完 | ヘルプデスク外注、運用・監視の委託 |
| ステップ⑥ | 継続的な改善(PDCA) | 改善効果の維持・向上 | 定期的な分析、FAQ更新、業務見直し |
上記のステップは、上から順にすべて実施する必要はありません。
まずはステップ①で現状を把握し、自社にとって最も負担の大きい領域から優先的に着手することが重要です。
導入事例│アウトソーシングで業務改善を行ったお客様事例

小林工業株式会社様 × エクスブレーン
小林工業株式会社様は、社内に情報システムを専任で担当する人材がいなかったため、ITに関する問い合わせやトラブル対応はすべて総務部門が担っていました。
その結果、対応が属人化しやすく、トラブル発生時の初動の遅れや、十分な原因究明・再発防止まで手が回らないといった課題がありました。
こうした状況の中で、当社が課題整理や運用支援に加わり、対応フローの整備や相談窓口の明確化を実施。結果として、日常的なIT対応の負担軽減とあわせて、業務全体の効率化と安定運用の実現につながりました。
導入前の課題
- IT専任者の不在と属人対応
- トラブル対応の遅れと自己解決の限界
- IT投資の遅れとデジタル化の停滞
導入後の効果
- IT相談窓口の明確化と即時対応
- 社内のITリテラシー向上
- 高まる現場の信頼感と安心感
負担軽減・業務改善なら、情シスパートナーにお任せください
本記事では、情シスが抱えやすい課題として「業務の属人化」「問い合わせ対応の肥大化」「改善業務の停滞」等について解説しました。
これらの課題に共通しているのは、限られたリソースの中で日常業務に追われ、本来取り組むべき改善や戦略に手が回らないという点です。
特に問い合わせ対応は、一つひとつは小さな対応でも、積み重なることで大きな負担となり、組織全体の生産性にも影響を及ぼします。
そのため、まずは「問い合わせの可視化」や「FAQ整備」といった小さな改善から着手し、段階的に業務全体を見直していくことが重要です。
情シスパートナーでは、こうした課題に対して運用代行にとどまらず、現状の課題整理や業務の可視化を行い、改善施策の立案から実行まで一貫してご支援しています。
「問い合わせ対応に追われている」
「情シス業務をもっと効率化したい」
とお考えの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。